現代より少し先の、20xx年。
日本のとある企業が、フルダイブ式VRMMOを発売したところから、異常な日常がスタートする。
それまでは地味なRPGを売り出すばかりで、鳴かず飛ばずだった零細ゲーム企業『プラスワン』が、クリスマスを前に突如発表した驚異の新作。
VR機器も合わせて1万円以内で揃ってしまう驚きの値段も、だんはくが広まった理由の一つだろう。
「1万円で買えるなら試しにやってみるか」
「流行りの機器を買ってやるより安いしなあ……」
「ママ、クリスマスあっちがいい!サンタさんにお願いして!」
「もう、腰をやってしまって立てない私でも、楽しめるということですか……?」
各々の思いを胸にだんはくを手にした人々は、それはもう熱中した。
だんはくの世界にダイブしている間は体感速度が8倍に引き延ばされ、丸一日遊びつくしたつもりでも4時間、ダンジョン1回分をゲーム内時間で30分とすれば4分も掛かっていないことになる。
隙間時間にだんはく。
出社までの10分でだんはく。
皆で集まってだんはく。
VRMMOという『友達とも遊べるシステム』により、下は幼稚園児から、上は介護施設の高齢者まで、沢山の人が遊んでいた。
勿論、だんはくの人気は日本にとどまらず、海外展開も視野に入れていた……
そんなある日。
翌年のクリスマス、突然に夢は覚めた。
「このゲームは脳波に影響している。危険ではないか?」
とある研究者の言葉に、世界中の人々の目が覚める。
正気に戻った、という表現が正しいだろう。
だんはくの世界に狂喜していた人々は慌てて手放すことを選び、VRMMO機器は政府の主導で回収され、永久凍結される。
それから半年。
「何故一度も事故が起きていなかったか、不思議なくらいですね」
コメンテーターを立ててだんはくについて語る番組も、最近では少なくなってきた。
しかし、ネットは寧ろ大騒ぎ。
何でも、『はっきんぐでばいす』という、だんはく世界に入れるようになるアイテムが巷で出回っているらしい。
都市伝説の類だろうが、と笑うことは、君にはもう出来なかった。
手にしたその機械は、噂通り……否、噂以上の性能を持つ『はっきんぐでばいす』なのだから。
この世界は、ちょっと未来の現代日本が舞台です。
だんはくというフルダイブVRMMOが流行したけれど、丁度1年経った頃に研究者がその危険性に気付いて、慌てて回収しました。
(いやあ、なんで1年も気付かなかったんですかねえ、わかりませんねえ……)
だんはくの世界は完全に閉鎖されましたが、はっきんぐでばいすと呼ばれるアイテムを使うことで今でも侵入できてしまうようです。
はっきんぐでばいすについては以下に。
東京都内、羽加地区(架空の都市)でのみ手に入れることが出来るアイテム。
はっきんぐでばいすの見た目は様々だが、『動かすためには電池が必要な物』以外の外見のはっきんぐでばいすは確認されていない。
パッと見ただのぬいぐるみでも、電池を入れると歌ったり踊ったりする。
はっきんぐでばいすの条件は、内部機構に電気を使っていることなのだ。
はっきんぐでばいすは人に譲り渡すことも出来る為、『誰かに押し付けられた』り、『お金を払って買った』ことも、入手方法として考えられる。
人々は、様々な理由ではっきんぐでばいすを手に入れ、今日もダンジョンに挑む。
ちなみに、はっきんぐでばいすを入手すると、『ラプラス』を名乗る赤いネコか、『マイナ』を名乗る青いネコに声を掛けられ、「君はだんじょんはっかーになる権利を得た!」と告げられる。
嫌がったり逃げたりしなければそのままラプラス、マイナの何方かから、はっきんぐでばいすについての解説を受けることが出来る。
☆はっきんぐでばいすで出来る5つのこと☆
皆大好き!だんはくの世界に入れるよ!
だんはくの世界で手に入れたお金は、そのまんま日本円になるよ!
他の電子マネーと同じように、はっきんぐでばいすを使うことでお支払いが出来ちゃう!
※この世界では貨幣がほぼ淘汰され、皆が電子マネーを使っています。主にスマートフォンや電子チップ付きのカードで決済を行っているようです。
はっきんぐぱわーを得た君達は、電子機器に手を翳すだけで思い通りの結果を再現できるよ!
例えば、自動運転の車を好きなように操縦したり、案内AIに好きな台詞を言わせたり!
それから、地図に対して使えば他のはっきんぐでばいすの場所と派閥も把握出来るよ!
ただし、レストエリアにあるはっきんぐでばいすは感知できないから気を付けてね!
※君達の日常は、ちょっと近未来の世界を想像してください。簡単な仕事がAIやロボットで管理できるようになったくらいなので、空飛ぶ車や転移装置はありませんが。また、電子地図に対してはっきんぐぱわーを使うことで、他のはっかーが持っているはっきんぐでばいすの位置を把握出来ます。派閥については『ラプラスとマイナ』を参照。
一人一つ、君だけの特殊能力がもらえるよ!
特殊能力の内容はラプラスかマイナにお願いするか、プログラミングの知識があるなら自分の好きなように決められるかもね!
特殊能力は君達の可能性に手を加えて使えるようにするものだから、現実の世界でも使えるよ!
※魔法じみたものでも、科学っぽいものでも、超能力っぽいものでも、なんでもござれ。困ったら運営に質問していただけると助かります。ただ、あまり強すぎると、”後程後悔するかもしれません”
変身!と唱えることで、変身が出来ちゃう!
変身中は、だんはくの世界で使っていたアバターになれるんだ!見た目だけじゃなく、君達のステータスもアバターのものになるよ!
だって、君達人間ってほとんどのステータスが10以下じゃん。アバターみたいに100とか200とか行ってくれないと。ボス討伐がきついからね!
※だんはくをプレイしていた設定のキャラクターは自分のアバターを使えばよいでしょう。一応、リアルマネーでのアカウント取引はこっそりと続いているので、強いアバターを購入して自分のものにするのも悪くはないかと。或いは、アバターの能力強化に頼る必要のない特殊能力を選択するか、例外的に『人間の肉体でありながら強い』という設定も可能です。但し、強い人間を作る場合は、5番の説明を良く読んでからお願いします。
変身中は、『レストエリア』に指定しておいた場所にリスポーン出来るよ!
例えば自分の部屋をレストエリアに指定しておけば、ダンジョンで死んじゃっても自分の部屋に戻って来られるんだ!
レストエリアは、はっきんぐでばいすを手に入れた時についてくる水晶で一度だけ指定できるよ!変更は出来ないから気を付けてね!
※リスポーン可能なのはあくまで変身中に限られます。人間の姿で死んだ場合はリスポーンせず、『キャラロスト』という扱いになります。変身の副作用は”今のところ”確認されていないので、常に変身した姿で生活しているはっかーも居るようです。
以上、5つの能力を持っているが、能力を使う為には
『はっきんぐでばいすを肌身離さず持ち歩いていること』、
また、
『はっきんぐでばいすに十分な充電が残っていること』
が必要である。
はっきんぐでばいすは『充電』を必要とするが、家庭用コンセントでは充電出来ない。
はっきんぐでばいすの電池残量を稼ぐためには、
『ダンジョンのエネミーを倒す』
あるいは、
『プラスマイナスが反対のはっきんぐでばいすの持ち主を倒し、そいつの電池残量を奪う』
の2つの方法が用意されている。
Q、プラスマイナスが反対って何?急に出てきたけど?
A、専門用語ばかりでごめんなさい……『ラプラスとマイナ』を参照してください……
はっきんぐでばいすを手に入れる事でスゴイパワーを持つことが出来ます。
基本的には、数奇な運命によってこのはっきんぐでばいすを手に入れてしまった人々をキャラメイクしてもらいます。
(基本的には、という言い方でエクストラクラスの存在を匂わせていく)
はっきんぐでばいすを持っている人たちのことを『はっかー』と呼び、街中なんかにある電子地図に干渉することで御互いの位置を把握することが出来ます。
ダンジョンのエネミーを倒すか、派閥が違うはっかーから奪うことで充電出来ます。
『気が向いたからお前のやつ充電してあげるよ』なんていう変人が居たら、是非甘えておくと良いでしょう。
『ラプラス』と『マイナ』は謎の生命体である。
猫のような姿をしているが、二足歩行し、日本語で喋る。
はっきんぐでばいすを手に入れた人の前に表れ、はっきんぐでばいすの効果を説明し、それから、『ダンジョンのボスを倒し、奥深くを目指してほしい』とお願いしていく。
これはラプラスもマイナも共通であるのだが……。
「マイナの手駒より早く辿り着くのだ!!」
「ラプラスお兄ちゃんより先にお願いしますわ!」
……こんな調子である。
ラプラスとマイナは兄妹だが仲が悪く、お互いの悪口を言い始めたら止まらない。
彼等曰く、はっきんぐでばいすにはプラスとマイナスが存在し、プラスのはっきんぐでばいすを司るのがラプラス、マイナスのはっきんぐでばいすを司るのがマイナらしい。
そういった関係か、プラスのはっきんぐでばいすを持つ者と、マイナスのはっきんぐでばいすを持つ者は敵対するように仕組まれており、ダンジョンエネミーを討伐するだけではなく、『他派閥のはっきんぐでばいすを使って自分のはっきんぐでばいすを充電出来る』ようになっている。
プラスのはっきんぐでばいすを持つ者であればマイナスのはっきんぐでばいすを。
マイナスのはっきんぐでばいすを持つ者であればプラスのはっきんぐでばいすを。
そのまま相手のはっきんぐでばいすを持ち去ることも出来るが、持ち去られたはっきんぐでばいすの場所も敵派閥から監視出来るので、おおかた報復を受ける事でしょう。
はっきんぐでばいすには『プラス』と『マイナス』の2種類があり、自分のはっきんぐでばいすがプラスならプラスからは奪えないけれど、マイナスからは電池残量を奪える、という仕組みになっています。
別に敵対する必要は無いので、プラスとマイナスのはっかーが其々互いに協力を約束し、片方の充電が尽きたらもう片方が充電してあげて、なんて関係も事実上可能です。
ただ、このシステム上、『相手を倒して電池残量を奪う』というのは別に悪い事でも何でもないので、弱い者が電池残量を奪われることは多いでしょう。
そもそも、羽加区内にはっかーが密集しているうえ、変身中はリスポーンが可能なため、ゲームのPvPくらいの気軽さで挑まれ、奪われてしまいます。
流石に、はっきんぐでばいすそのものを奪って逃げる者は居ないようですが……。
はっきんぐでばいすを手に入れる事で入れるようになる仮想空間。
羽加区内でのみ侵入出来、区外からはアクセスできない。
どうやら入れるダンジョンは一律で変化するらしい。
その時期に入れるダンジョンに関しては『現在のダンジョン』を参照。
だんはくの世界に入れる!と謡う割に、はっきんぐでばいすで入れるのはこのダンジョンだけで、街やフィールドには侵入不可能。
倒した敵が落とすアイテムなどは、はっきんぐでばいすを使うことで日本円に換金でき、電子マネーとして利用出来る。
ダンジョンに入っている間、現実世界に肉体は存在しない。
ダンジョンに持ち込めるのははっきんぐでばいすや、特殊能力で作り出した物だけ。
但し、どういう仕組みなのか、ダンジョン内で手に入れた物はダンジョンの外へ持ってくることも出来る。
(はっきんぐでばいすで換金するより売った方が高いなんてこともあるかも?)
また、ゲームだった頃と同じように8分の1の速さで時が流れているので、安全さえ確保出来ればダンジョンで勉強や仕事をするのも悪くないかもしれない。
勿論、勉強や仕事に使えるタブレット端末をはっきんぐでばいすとして持ち込める場合に限るが……。
RPGによくあるダンジョンです。
羽加区内に限り、はっきんぐでばいすを使ってアクセス出来る異空間のようなもので、ダンジョン内に居る時は、現実世界では突然姿を消してしまった扱いになります。
簡単にお金稼ぎができます。(要約)
モンスター1体当たり1000円は手に入るので、ボロい商売です。
ゲームだった頃と同じように、8分の1の速さで時間が進んでいるので、時給換算したらとんでもないことになるでしょう。
いやあ!はっかーの皆さんは幸運だなあ!
はっきんぐでばいすが出回り始めたばかりの現状ではわかっていることは少ない。
『ダンジョン内のモンスターを倒すとはっきんぐでばいすの電池残量が増える』
『ダンジョン内で得たアイテムは換金出来る』
『8分の1の速さで時が流れるダンジョンに、肉体ごと転移しているらしい?』
はっきんぐでばいすを手に入れた後、水晶を使って『レストエリア』を登録しておくと、変身中の死亡時にリスポーンすることが出来る。
リスポーンに特にデメリットは無いが、『死んだ』という感覚は鮮明に残っているので、何度も繰り返したい人はそう多くはないだろう。
エネミーに殺害されてリスポーンする時は、はっきんぐでばいすを装備し、変身を解除した状態でレストエリアに転移する。
他はっかーに殺害されてリスポーンする場合は、HPが0になっていても、身動きが取れない状態でその場に30分待機状態になる。
この30分の間に、敵はっかーは電池残量を奪うなど目的の行動を行う。
この場合は、敵はっかーが『帰還許可』を出すか、30分経過することでレストエリアに転移出来る。
この時、返却されていればはっきんぐでばいすも共に転移するが、敵はっかーに奪われていた時は、変身を解除した状態でレストエリアに転移するのみで、はっきんぐでばいすは奪われたままになる。
変身中は、死んだ場合も一番最初に決めた場所にリスポーン出来ます。
特にデメリットは無く、死ぬ直前に持っていたアイテムも引き継がれますが、他はっかーとの戦闘で敗北した場合は30分待機するか、相手はっかーの許可が無いと帰還出来ません。
30分、言葉も発せず、身動き一つ取れず放置される。
いやはや、考えたくもありませんね!
尚、レストエリアにあるはっきんぐでばいすはどう足掻いても感知出来ないので、『倒しておいて、転移先を見て家を探る』なんてストーカー行為は不可能です。
はっきんぐでばいすを手に入れた際、1つだけ登録しておける超常的な力が、特殊能力だ。
ラプラスやマイナに設定してもらった者も居れば、自ら欲しい能力を設定したゼロのメンバー、既に設定されていた特殊能力を引き継いだ者など、様々な決定方法があるだろう。
特殊能力を使用する際、どんな能力であっても、はっきんぐでばいすの電池残量が大きく減少する。
(約10%ほど。特殊能力自体は連続使用には向かないだろう)
『はっきんぐでばいすにプログラムする形で登録する』という前提上、一度決めた効果を変更するためには、ラプラスやマイナ、或いははっきんぐでばいすの研究を完成させたゼロのメンバーの手を借りる他ない。
また、他のはっかーのはっきんぐでばいすを使って特殊能力を使うことは、”現状”不可能である。
”今のところ”、他のはっかーのはっきんぐでばいすを狙うことに意味は無い。
1つのはっきんぐでばいすに1つだけ登録しておける超常能力です。
炎を飛ばす魔法なんかは、アバターの職業によっては叶える事が出来てしまうので、中々使わない必殺技のような物が良いかもしれません。
キャラによっては、アバターが使えなくなった時のことを考えて、それに対処出来る能力にした、なども良いと思います。
他の人から受け継いだはっきんぐでばいすでない限りはそのキャラクターが『これがいい』『あれがいい』と悩んで決めた物なので、キャラが立つことを重視するのもありかと!
また、あまりに強い特殊能力は後々、困難な展開を呼ぶ可能性はありますので、お気を付けて……。
(敢えて困難に向かう勇者も大歓迎です)
特殊能力は、『1人1つだけ』です。
いいですか?
1人1つだけです……。
Q、なんでそんなに念入りに書くの?
A、世界設定的に1つでないと困るからです!
しかし、ぱっと思いついた能力が『2つあってこそ1つ』の場合、在りますよね?
例えば、『ダメージを吸収し』『吸収したダメージで攻撃』!
例えば、『朝の内は弱体化するけれど』『夜は完全無敵になる』!
そんな貴方に朗報!
何だって、結局『書き方』が大事なんですよ……。
どれも、一つの能力の効果として扱えば良いのです。
『吸収する能力』と『それを使って攻撃する能力』ではなく、
『吸収したダメージで攻撃する』とだけ書いてくれれば……!
運営は何も言いません。
究極の表現をすると、特殊能力の名前が1つなら良いのです。
様々な効果を持つ1つの能力、で良いのです。